輸出入申告官署の自由化についての解説

輸出入申告官署の自由化とは、2017年10月8日から実施されている制度で、AEO事業者(AEO輸出入者・AEO通関業者)が貨物の蔵置場所を管轄する税関官署以外の官署に対して輸出入申告を行うことができる制度です。

例えば、AEO事業者であれば、全国どの税関の管轄の貨物であっても東京税関本関に輸出入申告をすることができます。

たとえ輸出入者がAEO認定を受けていなくても、AEO認定を受けている通関業者に通関を委託することにより、輸出入申告官署を自由に選択することができます。

また同時に、通関業の営業区域制限の廃止も行われ、AEOを取得していない普通の通関業者でも全国どの税関の管轄の貨物であってもその税関に対して輸出入申告を行うことができるようになりました。

これにより、通関業者は許可を取得していない税関の管轄の貨物の輸出入申告を行うことができるようになり、大きなビジネスチャンスとなっています。

目次

AEO事業者とは

AEOとはAUTHORISED ECONOMIC OPERATORの略で、貨物のセキュリティー管理と法令順守の体制が整備された事業者として、税関に認定された事業者のことです。

AEO制度の背景としては、2001年9月のアメリカ同時多発テロ以降のテロ防止対策として、国際物流におけるセキュリティー確保と円滑化の全世界的な取り組みがあります。

日本のAEO制度には、AEO輸出者・AEO輸入者・AEO製造者・AEO通関業者・AEO保税承認者・AEO保税運送者の6種類のAEO事業者が存在します。

AEO事業者には税関から税関手続きの簡素化・迅速化のメリットが与えられ、上記の自由化を利用した申告もその一つです。

AEO通関業者は、現在全国に218社(2019/6/1現在)あり、大手通関業者を中心として次第にその数を増やしています。

通関業の営業区域制限の廃止

輸出入申告は原則として、貨物が蔵置されている保税地域を管轄する税関官署に対して行います。

通関業の営業区域制限の撤廃後、例えば東京税関で通関業の許可を受けている通関業者でも、横浜税関管轄の貨物に対して輸出入申告を行うことができるようになりました(下図参照)。

輸出入申告官署の自由化

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