貨物利用運送事業とは、自らは運送を行わず、実運送事業者の運送を利用して行う貨物の運送のことですが、少しわかりにくいところのある概念です。
また、貨物利用運送事業には、第一種貨物利用運送事業と第二種貨物利用運送事業の2種類があり、これらの違いに関してもわかりにくいところがあります。
ここでは、貨物利用運送事業を理解するための注意点(ポイント)について記載していきます。
貨物利用運送事業には当たらない例
貨物利用運送事業とは、「他人の依頼を受けて、運賃・料金を受け取って(有償)、自らの運送責任において、他の実運送事業者に運送を委託して行う運送事業」のことをいいます。
つまり、以下の例は利用運送に当たらないため、利用運送の登録は必要ありません。
- 自社貨物を実運送事業者に運送させる場合
- 無償で実運送事業者に運送させる場合
- 運送取次事業の場合(自ら運送責任を負わない)
- 自ら実運送を行う場合
運送取次事業の例
求車求貨システム
荷主が輸送してほしい貨物の情報(量、種類、現在地、目的地、希望運賃等)を掲示板やデータベース等に出し、運送事業者がこれに応募して成約した場合に、荷主と運送事業者との契約締結に直接関与し、その対価を得る事業
インターネット通販
商品等の配達をする際に、通信販売会社が消費者と運送会社との間の契約を締結し、契約締結に係る対価を得る事業
第一種貨物利用運送事業と第二種貨物利用運送事業の違い
第一種貨物利用運送事業と第二種貨物利用運送事業を言葉で表すと以下のようになります。
- 第一種貨物利用運送事業 実運送事業者の行う運送において、トラック・船舶・航空・鉄道のうち1種類のみを利用して行うもの
- 第二種貨物利用運送事業 船舶・航空・鉄道による運送と、その前後のトラックによる集荷・配達を一貫して行い、利用者にドア・ツー・ドアの輸送サービスを提供するもの
第二種貨物利用運送事業を図で表すと以下のようになります。
貨物利用運送事業法による定義によると、「第二種利用運送事業とは、幹線輸送(船舶・航空・鉄道)に係る利用運送と、当該利用運送に先行・後続する貨物の集荷・配達のトラック運送を一貫して行う事業」とされています(貨物利用運送事業法第2条第8項)。
注意すべきポイント
ドア・ツー・ドアの一貫輸送サービスを提供する場合においては、トラックの集配は自社運送でも他社に委託する場合でも両方とも、第二種貨物利用運送事業に該当します。
集荷先から仕向港までというようにドア・ツー・ドアの一貫輸送となっていない場合においては、第一種貨物利用運送事業に該当します。
トラック集配を軽自動車で行う場合においては、軽自動車は貨物利用運送事業法の規制を受けないため、たとえドア・ツー・ドアの一貫輸送であったとしても、幹線輸送においての第一種貨物利用運送事業に該当します。
「利用の利用」とは
利用の利用とは、貨物利用運送事業者が貨物利用運送事業者を使って運送事業を行うことです。
利用の利用も貨物利用運送事業に該当し、登録または許可が必要になります。
利用運送の保管施設
利用運送の保管施設とは、利用運送を行うにあたって貨物の保管・荷扱いを行う施設のことを指します。
したがって、単に積替えだけを行う施設、一時蔵置するだけの施設は利用運送の保管施設とはなりません。
国土交通省の「貨物利用運送Q&A」によると、基幹保管施設とは以下のいずれかの業務を行う保管施設をいいます。
- 仕向け地別仕分け
- コンテナへの積込み・積卸し
- 通関
都市計画法・建築基準法・農地法等関係法令の遵守
貨物利用運送事業の登録・許可をするには、都市計画法・建築基準法・農地法等関係法令に抵触してはなりません。
都市計画法 都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする法律
建築基準法 建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする法律
農地法 農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し、及び農地の利用関係を調整し、並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もって国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする法律
利用運送の欠格事由
以下の事項に該当する場合には、貨物利用運送事業の登録・許可はなされません。
- 1年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
- 第一種貨物利用運送事業の登録又は第二種貨物利用運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者
- 申請前2年以内に貨物利用運送事業に関し不正な行為をした者
- 法人であって、その役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。)のうちに前3号のいずれかに該当する者のあるもの
- 船舶運航事業者若しくは航空運送事業者が本邦と外国との間において行う貨物の運送(以下「国際貨物運送」という。)又は航空運送事業者が行う本邦内の各地間において発着する貨物の運送(以下「国内貨物運送」という。)に係る第一種及び第二種貨物利用運送事業を経営しようとする者であって、次に掲げる者に該当するもの
イ 日本国籍を有しない者
ロ 外国又は外国の公共団体若しくはこれに準ずるもの
ハ 外国の法令に基づいて設立された法人その他の団体
ニ 法人であって、イからハまでに掲げる者がその代表者であるもの又はこれらの者がその役員の3分の1以上若しくは議決権の3分の1以上を占めるもの
第一種貨物利用運送事業の登録(許可)にかかる費用はどのくらい?
行政書士報酬の相場も含めて、こちらで解説しています。
貨物利用運送事業者は利用運送約款を定め、国土交通大臣の認可を受け、営業所において掲示しなければなりません。
第一種貨物利用運送事業は外国人事業者でも登録可能です。
外国人の第一種貨物利用運送事業登録の解説はこちら。
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